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てんかん(Epilepsy)完全ガイド

日本の 約 100 万人が悩むてんかん。適切な抗てんかん薬により約 7 割の方が発作を消失・コントロールできます。発作日誌を丁寧につけることが治療精度を上げる最大の近道です。

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約 100 万人
日本のてんかん患者数(人口の約 1%)
薬で 7 割が発作消失
適切な抗てんかん薬により発作が消失または激減する割合
約 30% が薬剤抵抗性
2 種類以上の薬を試みても発作が続く難治性てんかんの割合

てんかんとは

てんかん(Epilepsy)は、脳の神経細胞が突然・過剰・同期的に放電することによって繰り返す発作(seizure)を特徴とする神経疾患です。ICD-10 コードは G40 に分類されます(精神疾患ではなく神経疾患)。

「てんかん」の定義(ILAE 2014年)では、①少なくとも 2 回の誘因のない発作(または②1回の発作で再発リスクが高い場合)に診断されます。小児・高齢者に多く発症しますが、全年齢に起こりえます。てんかんの原因は多様で、脳構造異常(海馬硬化症・皮質形成異常・腫瘍・外傷)、遺伝性、免疫性、代謝性、原因不明(特発性)に分類されます。

てんかんは「脳の問題」であり、知的障害や精神疾患とは別物です。適切な治療により、多くの方が社会生活を通常に送ることができます。

発作のタイプ

焦点発作(部分発作)— 脳の一部から始まる
全般発作 — 最初から両側の脳に広がる
てんかん重積状態(Status Epilepticus)

発作が 5 分以上続く、または短い発作が繰り返し意識が回復しない状態は「てんかん重積状態」であり、救急対応が必要な緊急事態です。ジアゼパム(ダイアップ坐薬)・ミダゾラムの早期投与が有効です。かかりつけ医と「発作が 5 分以上続いた場合の対処」をあらかじめ確認しておきましょう。

診断の流れ

てんかんの診断は神経内科・脳神経内科・てんかん専門外来で行われます。

治療選択肢

第一世代・第二世代抗てんかん薬(主要薬)

バルプロ酸(デパケン/バレリン): 全般てんかん(強直間代・欠神・ミオクロニー)に広く有効な第一選択薬。1 日 400〜1200mg を分 2〜3 で服用。妊娠中の催奇形性(神経管閉鎖障害、胎児バルプロ酸症候群)に注意が必要で、妊娠可能年齢の女性への使用は慎重に判断します。血中濃度の治療域は 50〜120μg/mL。

カルバマゼピン(テグレトール): 焦点てんかんの第一選択薬。神経安定化作用(ナトリウムチャネル阻害)が強い。全般てんかん(欠神・ミオクロニー)には禁忌。皮疹(スティーブンス・ジョンソン症候群)のリスクがあり、HLA-B*1502 スクリーニングを考慮(アジア人)。血中濃度の治療域は 4〜12μg/mL。

広スペクトル・副作用が少ない新世代薬

ラモトリギン(ラミクタール): 焦点・全般てんかん両方に有効。妊娠への影響が比較的少なく、女性患者に多く使用されます。用量を急に増やすと皮疹(スティーブンス・ジョンソン症候群)のリスクがあるため、必ず緩徐に増量(バルプロ酸併用時は用量を半減)。維持量は 100〜400mg/日(単独)。

レベチラセタム(イーケプラ): 焦点・全般てんかん両方に有効で、薬物相互作用が少なく、腎排泄型。即効性があり注射剤(イーケプラ注)もある。易刺激性・気分の変化(不安・抑うつ・攻撃性)に注意。維持量は 1000〜3000mg/日。妊娠リスクは比較的低い。

ラコサミド(ビムパット): 焦点てんかんに適応。緩徐な活性化依存性ナトリウムチャネル阻害。心電図への影響(PR 延長)に注意。維持量は 200〜400mg/日。

ペランパネル(フィコンパ): AMPA 型グルタミン酸受容体拮抗薬。1 日 1 回就寝前服用。焦点・全般てんかんに適応。易刺激性・めまい・眠気に注意。維持量は 4〜12mg/日。

薬剤抵抗性てんかんへの治療選択肢

外科的切除術: 発作焦点を切除する根治的治療。側頭葉切除術(海馬硬化症)の発作消失率は 60〜70%。術前評価(長時間ビデオ脳波・MRI・FDG-PET・SEEG)で焦点が明確に同定できる症例が対象。術後も抗てんかん薬は継続し、数年後に漸減を検討。

VNS(迷走神経刺激療法、ビアグラ): 左頸部に埋め込んだ電極で迷走神経を定期刺激する。発作消失率は約 5〜8%、発作 50% 以上減少は 40〜50%。手術が困難な多焦点・汎化てんかんに適応。装置を携帯マグネットで手動でも刺激可能(前兆時に対応)。

ケトジェニック食(KD): 高脂肪・低糖質の食事療法。主に小児の薬剤抵抗性てんかん(特にドラベ症候群・GLUT-1 欠損症)に有効。成人でも変法(modified Atkins diet)が試みられる。栄養士・医師の厳密な管理が必要。

発作日誌が治療を変える理由

てんかんの治療目標は「発作の完全消失」または「最小の副作用で最大の発作コントロール」です。発作日誌は主治医が薬の用量調整・薬剤変更・手術適応評価を行う際の最重要情報です。健康日記で記録すべき項目:

記録データをもとに「発作頻度グラフ」「服薬と発作の関係」「誘因パターン」を自動分析し、次の受診前にサマリーを生成。発作が運転制限の評価基準(2 年間無発作)を満たすかの確認にも活用できます。

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