脂質異常症(高LDLコレステロール・高中性脂肪・低HDL)は、動脈硬化を進行させ心筋梗塞・脳卒中・末梢動脈疾患のリスクを高める慢性疾患で、自覚症状がないまま進行します。リスクに応じた厳格なLDL管理(心筋梗塞後は70mg/dL未満)と、食事・運動療法・スタチンによる継続治療が動脈硬化の進行を抑制します。健康日記は、検査ごとのLDL・HDL・TG値の推移を記録し、スタチンの服薬確認・副作用(筋肉痛)・食事の脂質管理を継続的にサポートします。
無料で記録を始める →脂質異常症(Dyslipidemia)は、血液中のLDLコレステロール・中性脂肪(TG)が高い、またはHDLコレステロールが低い状態の総称で、ICD-10コードはE78に分類されます。かつては「高脂血症」と呼ばれていましたが、低HDLも含めた広い概念として「脂質異常症」の名称が定着しています。
脂質異常症は自覚症状がほぼなく、健診の血液検査で初めて発見されることがほとんどです。しかし、高LDLや高TGが続くと動脈の内壁にプラーク(粥状硬化)が形成・蓄積し、動脈硬化が進行します。これが心筋梗塞・脳梗塞・末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)の主要な原因となります。日本の脂質異常症患者は約2,200万人と推計され、高血圧・糖尿病と並ぶ主要な生活習慣病です。
治療の目標はLDLを個人のリスクに応じた目標値以下に維持することであり、食事療法・運動療法を基本とし、必要に応じてスタチンをはじめとする薬物療法を組み合わせます。定期的な検査値の記録と継続治療が動脈硬化の進行を確実に抑制します。
脂質異常症の診断は内科・循環器内科・内分泌代謝内科で行われます。健診の血液検査で異常を指摘された場合は、空腹時(12時間絶食)採血による精密検査を受けます。
ロスバスタチン(クレストール)、アトルバスタチン(リピトール)、エゼチミブ(ゼチーア)、エボロクマブ(レパーサ・PCSK9阻害薬)、イコサペント酸(エパデール・TG低下)、オメガ3脂肪酸(ロトリガ・高TG血症)、フェノフィブラート(高TG・低HDL)
ロスバスタチン(クレストール): 最も強力なスタチンのひとつ。LDLを40〜55%低下させる。5〜20mg/日を就寝前服用。腎排泄型のため腎機能に応じた用量調整が必要。相互作用が比較的少ない。
アトルバスタチン(リピトール): 広く使用される標準的スタチン。LDLを35〜55%低下させる。10〜40mg/日。肝代謝(CYP3A4)のためグレープフルーツ・マクロライド系抗生物質との併用に注意。
ピタバスタチン(リバロ): 日本で開発されたスタチン。薬物相互作用が少なく、HDLを上げる効果も期待できる。1〜4mg/日。
エゼチミブ(ゼチーア): 小腸でのコレステロール吸収を阻害。LDLを単独で15〜20%低下させ、スタチンとの併用でさらに15〜20%上乗せ。スタチン不耐(筋肉痛で使えない方)にも有効。10mg/日。副作用が少なく使いやすい。
エボロクマブ(レパーサ)/ アリロクマブ(プラルエント)— PCSK9阻害薬: 皮下注射薬(2〜4週に1回)。LDLを50〜60%と劇的に低下させる。スタチン最大量でも目標未達の家族性高コレステロール血症や心筋梗塞後の高リスク患者に適応。薬価が高く保険適応要件あり。
イコサペント酸エチル(エパデール)/ オメガ3脂肪酸(ロトリガ): TGを30〜40%低下させる。エパデールは心血管イベント抑制効果(REDUCE-IT試験)も示されている。高TG血症・混合型脂質異常症に使用。
フェノフィブラート(リピディル・トライコア): PPARα作動薬。TGを低下させHDLを上昇させる。高TG血症・低HDL血症に適応。スタチンとの慎重な併用が必要(横紋筋融解症リスク)。腎機能低下者では減量が必要。
食事療法(特に重要): 飽和脂肪酸(肉の脂身・バター・ラード・揚げ物・菓子類)を摂取カロリーの7%未満に制限。トランス脂肪酸(マーガリン・ショートニング・市販パン菓子)を避ける。魚(サバ・サーモン・イワシ)のEPA/DHAを週3回以上摂取。食物繊維(野菜・豆類・オーツ麦・こんにゃく)をLDL低下のために積極的に摂取。高TGには糖質制限(白米・パン・甘い飲み物・アルコール)が特に有効。
運動療法: 有酸素運動(ウォーキング・水泳・自転車)を1回30分以上、週3〜5日。HDLコレステロールが5〜10%上昇し、TG低下・内臓脂肪減少にも効果的。筋力トレーニングの併用でさらに効果が上がる。
Q: スタチンを飲んでいれば食事に気をつけなくていい?
スタチンは有効ですが、食事療法との組み合わせが最も効果的です。飽和脂肪酸(肉の脂身・バター・揚げ物)を減らし、魚(EPA/DHA)・食物繊維(野菜・豆類・オーツ麦)を増やすことで、スタチン単独より30〜40%多くLDLを下げられます。「薬を飲んでいるから何でも食べていい」は誤りです。
Q: LDLの目標値はどのくらいですか?
リスクにより異なります。低リスク:160mg/dL未満、中リスク:140未満、高リスク(糖尿病・3つ以上の危険因子):120未満、最高リスク(冠動脈疾患・急性冠症候群):70mg/dL未満。心筋梗塞後は「70mg/dL未満、かつベースから50%以上低下」が目標(2022年日本循環器学会ガイドライン)。
Q: スタチンで筋肉痛がするのですが副作用ですか?
スタチンの筋肉関連副作用(ミオパシー)は発生率1〜5%で、重症の横紋筋融解症は0.1%未満と稀です。筋肉痛・筋力低下が続く場合はCK(クレアチンキナーゼ)を測定し、上昇していれば減量・変更を検討します。グレープフルーツはスタチンの血中濃度を上げるため避けてください。
Q: 中性脂肪(TG)が高い場合はどうすれば?
高TGには食事制限が特に有効です。糖質(白米・パン・甘い飲み物・アルコール)を減らすことでTGが劇的に改善します。特に飲酒はTGを直接上げるため、高TG血症では禁酒または厳格な節酒が必須です。EPA製剤(エパデール)はTGを30〜40%低下させます。
Q: PCSK9阻害薬とは何ですか?どんな人が使うの?
エボロクマブ(レパーサ)は2〜4週に1回の注射でLDLを50〜60%低下させる強力な薬です。スタチン最大量でも目標に達しない家族性高コレステロール血症(FH)や、心筋梗塞後に目標LDL未達の方が適応です。薬価が高いため保険適応要件があり、専門医への紹介が必要です。