強直性脊椎炎(AS)は仙腸関節・脊椎を中心とした慢性炎症性関節炎で、朝の強いこわばり・炎症性腰痛(安静で悪化・運動で改善)・進行すると脊椎が竹のように癒合する「竹節様脊椎」が特徴の指定難病です。HLA-B27陽性率が約90%と高く、20〜40歳代の男性に多く発症しますが、診断まで平均8〜10年かかることが課題であり、MRI・HLA検査を組み合わせた早期診断が重要です。健康日記は、BASDAIスコア・朝のこわばり時間・炎症性腰痛の強さ・運動療法の実施記録を継続管理し、生物学的製剤の効果判定と疾患活動性の推移をリウマチ科受診時に可視化します。
無料で記録を始める →強直性脊椎炎(Ankylosing Spondylitis, AS)は、仙腸関節・脊椎を主座とした慢性炎症性疾患で、脊椎関節炎(SpA)の代表的な疾患です。ICD-10 コードは M45 に分類され、日本では指定難病(告示番号89番)に指定されています。近年は「体軸性脊椎関節炎(axSpA)」という上位概念が用いられ、X線で骨変化が確認できる「放射線学的axSpA(r-axSpA=従来のAS)」と、MRIでのみ確認できる「非放射線学的axSpA(nr-axSpA)」に分類されます。
炎症は仙腸関節から始まり、脊椎(腰椎・胸椎・頸椎)・股関節・肩関節へと進行します。治療が遅れると脊椎の椎体が骨性架橋でつながり、X線で「竹節様脊椎(bamboo spine)」として現れる不可逆的な強直をきたします。目・腸管・皮膚にも合併症(ぶどう膜炎・炎症性腸疾患・乾癬)が生じることがあります。
20〜40歳代の男性に多く発症しますが、女性でも発症し、女性では症状が非典型的なことがあります。HLA-B27との関連が強く(陽性率約90%)、遺伝的背景が重要な疾患です。早期診断・早期治療が脊椎変形の予防に直結します。
強直性脊椎炎はリウマチ科・整形外科で診断・治療が行われます。若年者の慢性炎症性腰痛(3ヶ月以上)があればASを疑い、以下の検査を組み合わせます。
インドメタシン(インダシン)・ナプロキセン・セレコキシブ(セレコックス): 炎症性腰痛に対する第一選択薬。AS患者ではNSAIDsが特に著効することが多く、診断の手がかりにもなります。連日服用により疾患活動性を抑えるとともに、一部の研究では放射線学的進行抑制効果も示されています。長期使用時は胃腸障害・腎機能・心血管リスクに注意が必要です。
アダリムマブ(ヒュミラ): 皮下注射(隔週)。AS・体軸性SpAに適応。関節外症状(ぶどう膜炎・炎症性腸疾患)にも有効。バイオシミラー多数あり。
エタネルセプト(エンブレル): 皮下注射(週1回または週2回)。ただし炎症性腸疾患・ぶどう膜炎合併例では有効性が低いとされる。バイオシミラーあり。
ゴリムマブ(シンポニー): 皮下注射(月1回)。投与頻度が少なく利便性が高い。
セルトリズマブペゴル(シムジア): 皮下注射。PEG化により胎盤通過性が低く、妊娠希望女性に考慮されることがある。
インフリキシマブ(レミケード): 点滴静注(0・2・6週後、以降8週ごと)。速効性があり重症例に使われることもある。
セクキヌマブ(コセンティクス): 皮下注射(初期毎週→以降4週ごと)。TNF-α阻害薬に不応・不耐の場合の選択肢。乾癬合併例に特に有効。炎症性腸疾患合併例には慎重使用。
イキセキズマブ(トルツ): 皮下注射(初期隔週→以降4週ごと)。セクキヌマブと同様の機序。TNF-α阻害薬との直接比較でも非劣性。
ウパダシチニブ(リンヴォック): 経口JAK1選択的阻害薬。1日1回内服。生物学的製剤が使用できない場合や注射を好まない患者の選択肢。帯状疱疹・静脈血栓塞栓症リスクに注意。
トファシチニブ(ゼルヤンツ): 経口JAK阻害薬。関節リウマチとの適応を持つが、ASへの適応は限定的。心血管リスク・悪性腫瘍リスクに注意。
BASDAIスコアとASDASの継続記録により、生物学的製剤の治療効果判定(BASDAI50達成の確認)、増悪・寛解のタイミングの把握、次の受診時に医師に提示できる客観的データを蓄積できます。朝のこわばり時間の日次記録は、治療変更の必要性を医師と共有するうえで特に重要です。
インドメタシン(NSAIDs)、セレコキシブ(セレコックス)、アダリムマブ(ヒュミラ)、エタネルセプト(エンブレル)、セクキヌマブ(コセンティクス)、イキセキズマブ(トルツ)、ウパダシチニブ(リンヴォック)
現状では根治は困難ですが、生物学的製剤と運動療法で多くの患者が高いQOLを維持できます。
朝の強いこわばり・安静で悪化・運動で改善・若年発症・夜間痛が炎症性腰痛の特徴です。
むしろ必須です。水泳・ストレッチ・呼吸訓練が脊椎の柔軟性維持に不可欠です。激しい衝突スポーツは避けます。
NSAIDs2剤で3ヶ月以上無効の場合、TNF-α阻害薬またはIL-17阻害薬の適応になります。
多くのNSAIDsは妊娠後期に禁忌です。生物学的製剤の妊娠中の安全性は医師と相談を。