心房細動(AFib)の症状記録・治療管理アプリ
心房細動(AFib)は心房が無秩序に細動することで不整脈を生じ、動悸・息切れ・脱力感に加えて心内血栓による脳梗塞リスクが健常者の5〜7倍になる慢性・進行性の不整脈疾患で、国内推定約100万人(80歳代の10〜15%)が罹患しています。DOAC(経口抗凝固薬)による脳梗塞予防がAF管理の中心であり、CHA₂DS₂-VAScスコアで脳梗塞リスクを評価してDOAC適応を判断します。健康日記は、脈拍・動悸エピソード・服薬確認(抗凝固薬の飲み忘れは脳梗塞につながります)・アブレーション後の再発状況を継続記録し、循環器内科受診時に詳細な経過データを提供します。
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国内 約100万人
80歳代では約10〜15%が罹患(加齢と共に急増)
脳梗塞リスク 約5〜7倍
塞栓性脳梗塞の最大原因のひとつ
アブレーションで 約70〜80%
が洞調律維持。発作性AFでは1回で約60〜70%
心房細動とは
心房細動(AFib / AF)は、心房が1分間に350〜600回以上の無秩序な電気信号によって細かく震え(細動し)、整った収縮ができなくなる不整脈疾患です。ICD-10コードはI48(心房細動および粗動)に分類されます。
心房が正常に収縮できないため、心房内に血液がうっ滞し血栓が形成されやすくなります。この血栓が脳血管に飛ぶと塞栓性脳梗塞を引き起こします。AF患者の脳梗塞リスクは健常者の5〜7倍とされており、適切な抗凝固療法(DOAC・ワルファリン)による予防が治療の最重要課題です。
心房細動は発作性(7日以内に自然停止)・持続性(7日超)・長期持続性(1年超)・永続性に分類されます。発作性から始まり、治療なしでは持続性・永続性へと進行することが多く、早期診断・早期介入が重要です。
主な症状と分類
自覚症状
- 動悸: 脈が乱れる・脈が飛ぶ・ドキドキする感覚。発作性では突然始まり突然止まる
- 息切れ・呼吸困難: 特に労作時(階段・歩行中)。心不全合併例では安静時にも出現
- 倦怠感・易疲労感: 慢性AFで多く、運動耐容能の低下として現れる
- 胸部不快感・胸痛: 頻脈性AFや心筋虚血の合併で出現
- めまい・失神: 脈が速すぎる・または遅くなりすぎる場合(特に除細動後)
- 無症候性AF: 症状がなくても心電図でAFが確認される。スマートウォッチ等で偶発的に発見されることが増加
病型分類(発作パターン)
- 発作性AF(Paroxysmal AF): 発作が7日以内に自然停止。頻度・持続時間はさまざまで、月1回から1日数回まで個人差が大きい
- 持続性AF(Persistent AF): 7日以上継続し自然停止しない。薬物や電気的除細動(カーディオバージョン)が必要
- 長期持続性AF(Long-standing Persistent AF): 1年以上持続。リズムコントロールを試みる場合
- 永続性AF(Permanent AF): 洞調律への復帰を目指さずレートコントロールのみで管理する方針が選択された状態
診断とリスク評価
心房細動の診断は循環器内科・不整脈専門外来で行われます。発作性AFは症状が出ていないときの心電図では確認できないため、ホルター心電図(24時間〜長期間)やスマートウォッチのAF検出機能が有用です。
- 標準12誘導心電図: 発作時に記録できれば確定診断。P波の消失・絶対的不整脈(RR間隔の不規則)が特徴
- ホルター心電図(24〜48時間): 発作性AFの捕捉。症状がある時間帯の記録が診断のカギ
- 長時間心電図モニター(2週間〜1か月): ホルターで捕捉できない低頻度発作の検出
- 植込み型心電図モニター(ILR): 皮下埋め込み型。不明な失神やAF確定が困難な場合に3年間連続モニタリング
- 心エコー図: 心房のサイズ・左心室機能・弁膜症の評価。左心耳血栓の確認(経食道エコー)
- 血液検査: 甲状腺機能(TSH)・腎機能(eGFR)・肝機能・BNP(心不全評価)
CHA₂DS₂-VAScスコア(脳梗塞リスク評価)
DOACの適応判断に使用するスコアリングシステム。各因子に点数を付与して合計点でリスクを評価します。
- C: 心不全(Congestive heart failure)— 1点
- H: 高血圧(Hypertension)— 1点
- A₂: 年齢75歳以上(Age ≥75)— 2点
- D: 糖尿病(Diabetes mellitus)— 1点
- S₂: 脳梗塞・TIA既往(Stroke/TIA)— 2点
- V: 血管疾患(Vascular disease: 心筋梗塞・末梢動脈疾患・大動脈プラーク)— 1点
- A: 年齢65〜74歳(Age 65–74)— 1点
- Sc: 女性(Sex category)— 1点
男性スコア≥1、女性スコア≥2でDOACによる抗凝固療法が推奨されます。
治療選択肢
抗凝固療法(脳梗塞予防)— AF管理の最重要治療
DOAC(直接経口抗凝固薬): 現在の標準治療。アピキサバン(エリキュース)・リバーロキサバン(イグザレルト)・ダビガトラン(プラザキサ)・エドキサバン(リクシアナ)の4種が国内使用可能。食事制限不要・PT-INR測定不要で管理しやすく、ワルファリンと同等以上の脳梗塞予防効果と出血リスク低減が示されています。腎機能(eGFR)に応じて用量調整が必要です。
ワルファリン: DOACが使用できない場合(機械弁・重症僧帽弁狭窄・重篤な腎障害)に選択。PT-INR(目標値 2.0〜3.0、75歳以上では1.6〜2.6)の定期モニタリングが必須。ビタミンKを多く含む食品(納豆・青汁・緑黄色野菜の過剰摂取)との相互作用に注意が必要です。
レートコントロール(心拍数管理)
AF中の過度な頻脈(心拍数が速すぎる状態)を抑え、心不全や症状を軽減する治療。洞調律への復帰を目指さず、AFのまま心拍数を管理する方針(特に永続性AF・高齢者・症状が軽微な場合)。
- β遮断薬(ビソプロロール・メトプロロール): 第一選択。安静時心拍数60〜80bpm・労作時110bpm以下を目標
- ジゴキシン: 心不全合併・β遮断薬が使えない場合。安静時のレートコントロールに有効だが運動時は不十分
- Ca拮抗薬(ジルチアゼム・ベラパミル): β遮断薬の代替。ただし心不全・低EF例には禁忌
リズムコントロール(洞調律維持)
薬物または処置で洞調律(正常なリズム)に復帰させ、それを維持する方針。発症から1年以内・若年者・症状が強い場合に特に有効です。
- フレカイニド・ピルジカイニド: 器質的心疾患(虚血性心疾患・心不全)がない場合の発作性AFに有効。「pill-in-pocket(発作時頓服)」として使用されることも
- アミオダロン: 最も洞調律維持効果が高い。ただし肺毒性・甲状腺機能異常・肝障害・光線過敏症など長期使用に伴う副作用に注意。心不全合併例で選択されることが多い
- ソタロール・シベンゾリン: 中等度の洞調律維持効果。腎機能・QT間隔のモニタリングが必要
- 電気的除細動(カーディオバージョン): 麻酔下で電気ショックにより洞調律に戻す。48時間以上持続のAFでは事前に十分な抗凝固療法(3週間以上)または経食道エコーで左心耳血栓のないことを確認してから実施
カテーテルアブレーション(根治的治療)
心臓内にカテーテルを挿入し、AFの主な発生源である肺静脈周囲を電気的に隔離する(肺静脈隔離術、PVI)根治的治療法。発作性AFでは最も効果が高く、症状改善と発作頻度の減少が期待できます。
- 高周波アブレーション(RF): 熱エネルギーで肺静脈周囲を焼灼。標準的な術式
- クライオバルーンアブレーション: 冷凍バルーンで肺静脈を一括隔離。手技時間が短縮・均一な隔離が可能
- パルスフィールドアブレーション(PFA): 電気パルスで心筋細胞を選択的に不活性化する最新技術。周囲組織への損傷が少なく安全性が高い
術後3か月間は「ブランキング期間」として再発率が高く、この時期の再発は長期成績とは別に評価します。術後も抗凝固療法の継続判断は個別に行います。
記録が役立つ理由
心房細動の管理では、症状・服薬・検査値の継続記録が治療精度を大きく向上させます。健康日記で記録すべき主な項目:
- 動悸エピソードの日時・持続時間・頻度(発作性AFの記録)
- 安静時脈拍・脈の乱れ(スマートウォッチのAF検出連携)
- DOAC・ワルファリンの服薬確認(抗凝固薬の飲み忘れ記録)
- PT-INR値(ワルファリン管理)・腎機能(eGFR)の定期記録
- 息切れ・倦怠感・運動耐容能の変化(心不全合併の早期検出)
記録データをもとに「動悸の発生パターン」「服薬と発作の関係」「誘因(飲酒・睡眠不足・ストレス)」を分析し、次の循環器内科受診前にサマリーを生成します。アブレーション後の再発状況も継続追跡できます。
主な治療薬
アピキサバン(エリキュース・DOAC)、リバーロキサバン(イグザレルト)、ダビガトラン(プラザキサ)、ビソプロロール(β遮断薬・レートコントロール)、ジゴキシン(心拍数管理)、アミオダロン(リズムコントロール・重症例)、ワルファリン(抗凝固・PT-INR管理)
よくある質問
心房細動の動悸は危険ですか?
直接生命を脅かすことは少ないですが、脳梗塞・心不全のリスクがあります。症状がなくても抗凝固療法が重要です。
DOACとワルファリン、どちらが良いですか?
腎機能が許容できれば、DOACは食事制限不要・PT-INR測定不要でワルファリンより使いやすく、多くの患者でDOACが推奨されます。
カテーテルアブレーションで完治しますか?
発作性AFでは1回の成功率が60〜70%、2回目を含めると約80%が洞調律維持。永続性AFでは効果が限定的です。
アルコールは心房細動に影響しますか?
はい。飲酒・睡眠不足・ストレスは発作の引き金になります。「ホリデーハート症候群」と呼ばれる飲酒後の発作が知られています。
運動してよいですか?
適度な有酸素運動は推奨されます。ただしAF発作中は中止して安静に。主治医と運動強度を相談してください。
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